「障害者情報アクセシビリティー・コミュニケーション施策推進法」成立における4団体声明

障害者が障害のない人と同じように情報を得られる社会を目指す
「障害者情報アクセシビリティー・コミュニケーション施策推進法」が19日、
衆院本会議で全会一致で可決成立しました。
障害者の情報へのアクセスに特化した法律です。
法案と付帯決議を添付します。
【条文】障害者情報コミュニケーション法案
障害者情報アクセシビリティ法案附帯決議

法律成立を受けて、コミュニケーション関係4団体は以下の声明を発表しました。
障害者情報アクセシビリティ・コミュニケーション施策推進法成立における4団体声明
※下にもございます

法案審議の詳細は以下のリンク先をご参照ください。
https://www.shugiin.go.jp/internet/itdb_gian.nsf/html/gian/menu.htm#06

新型コロナウイルスに関する要望 その2(声明)を出しました

当団体は、今回の新型コロナウイルス感染拡大に関する要望を3月25日に発表しましたが、引き続き以下の対策を要望します。

 

令和2年4月20日
新型コロナウイルスに関する要望 その2(声明)

一般社団法人
全日本難聴者・中途失聴者団体連合会

1.新型コロナウイルス感染問題に関する国・自治体の記者会見などのライブ動画や、その後のアーカイブ動画に字幕を付与すること
 政府は4月7日に7都府県に対して緊急事態宣言を発出し、4月16日に全都道府県を緊急事態措置の対象としました。このような状況で、国や自治体の知事会見などのテレビ放送やネット動画が増えています。
 これらの多くは直接住民の安全に関わる重要な情報ですが、字幕がないと聞こえにくい中途失聴・難聴者には伝わらず、適切な行動をとることができません。都道府県知事の記者会見等のライブ放動画への字幕付与を強く求めます。また、アーカイブの動画には正確な字幕をつけてください。

2.インターネットを利用したテレワーク、遠隔教育、テレビ放送の教材などの音声情報に字幕を付与すること
 緊急事態宣言とともに在宅勤務の推進が要請され、インターネットを利用したテレワークやweb会議、eラーニング研修等を行う企業や団体が増えています。
これらインターネットを利用した取り組みにおいては、画像情報に加えて音声情報が大きな役割を担っています。しかし、これらの音声情報に字幕が付与されていなければ、中途失聴・難聴者はその情報を理解できません。これらの取り組みにおいて、字幕の付与、文字入力によるサポート、また事前に書き起こしたテキストを準備するなどの取り組みを強く求めます。
 また、中小企業を中心に、テレワークの整備や字幕付与などの体制が整わないために、出勤せざるを得ず、感染のリスクに晒されているケースが多くあります。音声認識技術の活用を含め、字幕付与のシステムの環境整備や相談窓口の設置など、導入にあたっての支援制度の確立を求めます。
一方、教育の場においても、休校措置の拡大で授業や学習教材をネットやテレビで視聴するケースが増えています。聞こえにくい子どもたちには、聞き取りやすい環境や音声情報の可視化(字幕)がなければ、授業・教材の内容が理解できません。子ども向けの教材には必ず字幕をつけ、事前に書き起こしたテキストを渡すなど、子どもの学ぶ環境を守る取り組みを強く求めます。

3.オンライン診療での音声情報の文字化をはじめ、医療場面での情報保障を行うこと
 新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐため、初診であってもオンライン診療が受けられることになりました。
 オンライン診療においては医療従事者のみならず、患者も一定のITリテラシーが必要になります。しかし、患者は不安感・緊張感のもとにオンライン診療を利用することになり、特に聞こえにくい中途失聴・難聴者は、医師との音声による意思疎通が図れず、オンライン診療にあたっての困難さが倍加します。オンライン診療をスムーズに利用できるよう、診察時の音声情報をすべて文字化するアプリを早急に開発することを要望します。
そして、中途失聴・難聴者もオンライン診療を安心して利用することが出来るよう、診察にあたって、以下のような配慮を是非お願いします。

<意思疎通手段例>
a)マスクは外し、口元をはっきり開けて、ゆっくり話す
b)紙資料を見せる(事前に紙に書いているとスムーズです)
c)筆談したり、コミュニケーション支援ボードを使用する

なお、医療関係団体などによる オンライン診療についての研修を実施する
際には、受講時に中途失聴・難聴者との意思疎通手段や情報保障について周知
してください。
また、病院や医師への問い合わせ手段が電話のみの場合、不急であっても
病院に行くことが必要になります。感染のリスクを高めないよう、FAXやメ
ールなどで連絡できるようにしてください。

(参考)オンライン診療の適切な実施に関する指針
https://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10801000-Iseikyoku-Soumuka/0000201789.pdf
 中途失聴・難聴者に対する合理的配慮等具体例として、下記のサイトもご参照ください。
(参考)合理的配慮等具体例データ集(内閣府)
https://www8.cao.go.jp/shougai/suishin/jirei/index_choukaku.html

(声明についての問い合わせ先)
一般社団法人 全日本難聴者・中途失聴者団体連合会
〒162-0066 東京都新宿区市谷台町14-5 MSビル市ヶ谷台1F
電話: 03-3225-5600 FAX: 03-3354-0046

全難聴声明「新型コロナウイルスに関する要望その2」

 

新型コロナウイルスに関する要望(声明)を出しました

今回の新型コロナウイルス感染拡大に関して、全難聴は以下の通り声明を出しました。

令和2年3月25日

新型コロナウイルスに関する要望(声明)

一般社団法人
全日本難聴者・中途失聴者団体連合会

 今回の新型コロナウイルス感染拡大に関して、以下の対策を要望いたします。

1.相談窓口・保健所・医療機関等の連絡先には必ずFAX番号や、やり取り可能なEメールアドレスを記載すること

 緊急事態のときに繰り返されていることだが、今回も厚生労働省や各都道府県の新型コロナ受診相談窓口 (帰国者・接触者電話相談センター等)への連絡方法が依然として電話のみであり、FAX番号が載っていない。聴覚障害者の多くが電話を利用することに困難を抱えていることを理解し、相談窓口・保健所・医療機関の連絡先にFAX番号、Eメールアドレスを記載することを徹底いただきたい。

2.マスク着用時の筆談対応の徹底

 厚生労働省が発表している「咳エチケット」がマスクを着用することをウイルス感染予防の1番目に挙げているように、感染予防に最大限の努力をすべき今の段階で、正しくマスクを着用し新型コロナウイルスの感染を防止することは何をおいても優先しなければならない行動である。一方、聴覚障害者の多くは、人の表情・口元の動きを見て多くの情報をとって、コミュニケーションを図っており、相手の表情が隠れ、口元が見えないマスクの着用は大変大きなバリアとなる。とくに、病院での受診など正確なコミュニケーションが求められる場面では、マスクの着用で損なわれるコミュニケーションを筆談など他の方法で回復することが強く求められる。
利用者が筆談を求めた場合や利用者とのコミュニケーションに困難が感じられる場合には、筆談で対応することの徹底をお願いしたい。(写真:筆談対応を示す耳マーク)

3.意思疎通支援者へのマスクの提供

 コロナウイルス感染が拡大している状況でも意思疎通支援者(手話通訳者、要約筆記者等)は、利用者の要求によって様々な現場で、コミュニケーション支援に従事している。しかしながら、マスク購入が困難な状況の中、病院通訳を含め、意思疎通支援者は感染リスクの高い派遣現場でのマスク着用が不十分なままに通訳に従事している。一部自治体では、マスクと消毒液を医療機関・介護施設等に緊急提供することが報道されているが、意思疎通支援者に対しても行政責任において、マスク提供を行っていただきたい。

4.テレワーク、リモート学習などでのインターネット利用における音声情報への字幕付与の推進

 外出自粛の動きの中、テレワークのためのテレビ会議・電話会議、リモート学習などでのインターネット利用が拡大しているが、多くの音声情報に字幕を付与する環境が整っていない。
 音声認識技術の活用も含め、早急な字幕付与を推進頂きたい。

以上

IFHOH(国際難聴者連盟)より新型コロナウイルスに関する声明が出ました

3月23日、IFHOH(国際難聴者連盟)より出されました
新型コロナウイルスに関する声明をお知らせいたします。

【声明】障害者雇用水増し問題について

 

障害者雇用水増し問題について(声明

2018年9月3日

      

一般社団法人全日本難聴者・中途失聴者団体連合会
理事長 新谷友良

 障害者雇用を促進するための障害者雇用率制度の運用において、国・地方自治体が対象外の職員を障害者の範囲に組み入れて、雇用率を達成したように報告していたことが判明しました。多くの障害者の雇用を目指す制度おいて、その基礎となる障害者の数を偽っていたことは、どのような言い訳も許されるものではありません。

 我が国の年金も含めた多くの障害者福祉サービスは障害者手帳の保持が条件になっています。しかし、障害者認定の基準は国際的にみて非常に厳しく、聴覚障害を例にとれば、世界保健機関(WHO)報告が人口の5%を聴覚障害者としながら、我が国の聴覚の障害者手帳保持者は34万人(人口の0.3%)しかいません。このように、障害者福祉サービスの受給対象者を厳しく制限しながら、他方自分たちが作った制度の目標数字を達成するためには平気で障害者の範囲を操作する国の対応は、我が国の障害者施策の根底を揺るがすものと言わざるを得ません。

 民間企業の障害者雇用率は今年から2.2%となっています。この数字が妥当かどうか様々な議論がありますが、例えばフランスは6%です。しかし、フランスでは障害者雇用における障害の定義が「1つ又は複数の身体・感覚・精神・知的機能を理由とする、障害者がその環境において被る活動の制限または社会生活への参加の制限」とされており、障害者の範囲を広くとらえています。また、障害者の雇用・就労における情報保障の整備など、提供すべき合理的配慮が非常に具体的に規定されています。

「働き方改革」を待つまでもなく、働く意欲のある障害者には広く働く場が与えられなければなりません。多くの障害者の雇用を民間企業や国・自治体で進めていくためには、

①障害者雇用における「障害者の範囲」を障害者基本法の定義に沿ったものに改める。
②雇用・就労における「合理的配慮の提供」を行政機関等のみならず事業者においても法的義務とするように障害者差別解消法を改正する。

ことが求められます。

「雇用率が達成されれば、障害者雇用の問題が解決」されるという認識が今回の問題を生んでいます。「障害者の範囲」、「合理的配慮の提供」の課題を併せて考えることで、今回の問題を障害者の雇用・就労問題を前進させるきっかけとすることを求めます。

【声明】障害者雇用水増し問題について PDF